ノーコスト林業
今日は林業の本を読んだ。
ノーコストの林業を勧める本である。
この本はなかなか興味深かった。
僕は大学で森林科学を専攻していた。
そのため林業界で常識とされる歴史や現状についてはある程度理解している。
その上で、2022年刊行のこの本の内容は驚くべきものだった。
江戸時代以前、日本の林業はほとんどノーコストでできた、というのだ。
その理由は、間伐、枝打ち、下刈り暑さだといった、現行の林業で常識とされ、人件費のかかる大変な作業をやっていなかったからだ。
間伐も枝打ちも下刈りもしなくていい、だからノーコスト。
これは、耕すことも、農薬も、肥料もいらない、だからコストがかからない、とする、自然農法とも似ている。
共通する理念は、人間の力でどうにかしようとするのではなく、できるだけ自然に任せるようにすること。
自然に任せるのだから、人間のすることは減る。
所詮、作物も木も、育てているのは人間ではなく、太陽であり、雨なのだ。
実際に過去に行われていた林業では、一帯の木を切ったら、そこで焼畑を行うそうだ。
焼いて、邪魔なものを灰にしてしまう。
そこでまず作物を育てる。
2年目に苗を植え、苗の間でまた作物を植える。
こうすると、苗以外の植物が繁茂する代わりに作物が育つので、面倒な下刈りが必要なくなる。
木を切って5年目には木がある程度成長していて、作物を植えるのはやめる。
こうすると、下刈りのコストがいらないばかりか、焼畑で簡単に育った作物が収益を生む。
また、現行の林業では、ある程度木が成長して密になってくると、間の木を切っていき、木と木の間の間隔を広げる作業を行う。
これを間伐と呼ぶ。
しかし、江戸時代以前では、間伐はあまり普及していなかった。
間伐がなくて何か問題があるなら、間伐はもっと早く普及したはずだ。
そのままだったということは、間伐はいらなかったということになる、と筆者は主張する。
その後、なぜ間伐が常態化したのか、ということを筆者は独自の見解で説明する。
それは僕が全く知らなかったことで、新しい視点であり、おそらく正しい。
しかし、間伐をまったくしなくて良いというのには、すぐさま頷けない。
間伐も枝打ちもせず放置された結果の人工林の姿が、今日本中で見られる。
暗く、下草に乏しく、生物多様性などないに等しく、野生動物を養うこともできず彼らを追い出す死んだ森である。
枝打ちというのは、木の節をなくすために枝を落とす作業だ。
これも、昔はしていなかった。
そもそも節があったところで強度的にはほとんど問題がないと分かっている。
見栄えの問題なのだ。
戦後、高度経済成長期に、安く入ってきた輸入材に対して、高価な国産材がもてはやされたことにより枝打ちも常識となった。
筆者は江戸時代以前の、焼畑と組み合わさった林業の形を勧めている。
そのため、焼畑の良さを書いている。
そこに、野菜の栄養分の話があった。
野菜に含まれる栄養分についての公的な資料が過去何度か出版されているのだが、その3版と、4版でビタミンCの値を比べると、どの野菜も明らかに4版で値が下がっているのである。
昔よりも、野菜の栄養は落ちている。
しかし、これはなんら不思議なことではない。
野菜はもちろん植物なので、独自の成分というものがある。
それはその野菜が生きるために必要な成分であり、それが味となる。
野菜の味は、食べられるためにあるのではなく、生物としての理由がある。
しかし、肥料と農薬を使って過保護に育てると、外的から身を守るため、あるいはその他の理由で必要だった成分が必要なくなっていく。
理解しやすい例で言うと、にがうりの苦みや唐辛子の辛味などは、外的に食べられないようにするための防御物質であり、言い換えれば毒として生成されている。
しかし人はそこに味を感じ、美味しいとして食べているのだ。
つまり、農薬と肥料で過保護に育てられた野菜は、必要だった成分、つまりこれが栄養分なのだが、これがいらなくなり、減ってしまうのだ。
話を戻して焼畑だが、これで育てられた野菜のビタミンCの値は、ずば抜けて高かった。
3版の頃から4版への下がり具合は、0.2倍から0.8倍といったところだった。
しかし焼畑野菜のビタミンCの値は4版の10倍以上であり、3版と4版の違いが気にならなくなるほどであった。
まさに桁違いである。
また、ほうれん草はシュウ酸という物質を含むため、通常生では食べないが、焼畑で作ったほうれん草はシュウ酸が少なく、生でも食べられたそうだ。
この理由に、筆者は水はけの良さをあげている。
元々、今育てられている野菜のほとんどは乾燥した地域に原種を持ち、乾燥した気候に適している。
昔から、雨が少ない年の野菜は美味しく実ると言われている。
現行の野菜は過剰な水やりによって不味くなっているという。
しかし、水をやらなければ野菜は枯れてしまうのだ。
いかにして水を少なくしながら、野菜を枯らさずに美味しく育てるか。
そういうことを研究すべきなのに、農薬や肥料、あるいは工場内で育てる方法など、自然から離れた方法ばかりが研究される、と筆者は嘆いている。
自然農法と焼畑農業。
両者には近いものがある。
というか、焼いた灰の上で自然農法をやるのが焼畑農業ではないか。
なかなか面白い話を読んだ。
ラーメン
最近異様にお腹が空く。
歩いていないし、結構食べているのだが、どうも胃が大きくなってしまったらしい。
そして二郎系ラーメンというのが食べたくなった。
今まで食べたことはない。
実は7/1は誕生日で、親からたまには贅沢を、ということでお祝いをいただいたので、これでラーメンを食べに行くことにした。
そこは正確には二郎系インスパイアと書いてあり、二郎系とは味が全然違うそうだが、口コミにはその辺の二郎系より美味いとあり、好評だったので行ってみた。
野菜マシマシ大盛りで唐揚げをつけてもらった。
特盛にしてライスも頼むか迷ったのだが、二郎系は量が多いと聞いていたので、このぐらいにしておいた。
出てきたラーメンは、もやしがタワーを形成しており、もやしを食べなければ麺に到達することさえできなかった。
なるほど、これが二郎系インスパイア。
量はちょうどよかった。
味もなかなか美味しかった。
ただ、にんにくが多すぎる。
最後の方はにんにくにやられて最後まで美味しく、とはいかなかった。
まあ、たぶん二郎系ってそういうものなんだろう。
噂に聞いていたとおりだ。
量にしては安かったと思うし、美味しかったので文句はない。
歩いた距離:4km