歩いて日本一周ブログ

歩いて日本一周する記録とか雑記

足摺宇和海国立公園

お遍路さん

前から笠をかぶって金剛杖をついた人が歩いてきた。

お遍路さんだ。

この時期は暑いからお遍路さんは少ないと聞いたのだが、中にはいるようだ。

僕ほどではないにしろ、大きなザックにマットを結びつけている。

テント泊で行く歩き遍路だろう。

お遍路さんはこうでないとね。

すれ違いに挨拶する。

若い男だった。

同い年ぐらいか?

 

それからしばらく歩き、無人直売所の野菜を見ていると、後ろから来た人に声をかけられた。

どうもさっきのお遍路さんに日本一周の人がいると聞いて探しながら歩いてきたらしい。

また若い男。

今度は普通の旅行者といった風体だったから、お遍路さんとは思わなかったのだが、聞いてみるとお遍路さんらしく、しかも僕と同じく和歌山から徳島のフェリーで7月〇〇日にやってきたらしい。

日付までは忘れた。

 

大学四回生で、夏休みを利用して来たらしい。

なるほど。確かに大学生ならこの時期に来るのも分かる。

春休みの方が賢いだろうけれど。

さっきの人もそうなのかな?

話している間も並んで歩く。

もう歩くのが常態化しているので、そのことを意識もしなかった。

 

この人と別れた場所が橋の上で、その下に綺麗な川が流れていた。

覗き込むとカモが列をなして泳いでいる。

教えてあげようと思ったが、せかせかと先に行ってしまったので止めるのも悪いと思って言わなかった。

さらに橋の終わり辺りではその川が注ぐ海が見えた。

磯と浜の見える紺碧の海。


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この景色に目もくれずに彼は歩いていってしまった。
思ったのだが、あの人は随分早くここまで歩いてきている。

きっと歩くことしかしていないのだろう。

大学生の夏休みとはいえ時間は限られているのでゆっくりはしていられないのだ。

可哀想に。

 

 

大岐の浜

足摺宇和海国立公園の東玄関に当たる大岐の浜は、1600mに及び美しい白砂が続く浜である。

その砂は足摺岬花崗岩が浸食運搬されたものであり、まさに国立公園の玄関口にふさわしいと言えるだろう。


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大岐の浜に着くと、まるで待ち構えていたかのようにおばちゃんが「お遍路さん!」と呼びかけながら僕の方に歩いてくる。

「いや、僕はお遍路さんじゃないんだけど…」とぼそぼそ言う僕の言葉は、すべて分かっていると言わんばかりに頷くおばちゃんにはまったく聞こえていないらしく、栄養剤と水を入れて凍らしたペットボトルを押し付けるように渡された。

「これ、水凍らしただけやき、溶けたら飲み」

「あ、ありがとうございます…」

おばちゃんは任務達成とばかりにさっさと去っていった。

いやまあ、普通にありがたいのだけれど…。

 

強烈な日射から逃げ隠れる場所を探していた。

しかしなかなか見つからない。

結局浜辺のトイレの脇の影に荷物をおろした。

暑くて仕方がない。

おばちゃんからもらった氷のペットボトルを手ぬぐいで巻いて首に当てる。

影で涼みながらプロテインを飲み、昼食にした。

昨日おっちゃんにもらったソルティライチを飲み干し、同じくおっちゃんにもらった夏みかんと塩のジュースを飲み、同じくおっちゃんにもらった芋けんぴを食べる。

そのまま首に氷を当て、芋けんぴの袋を片手にボリボリ食べながら海岸を徘徊する。

もう暑くて仕方ないので、影に戻って服を脱ぎ、その辺に服を引っ掛けて汗を乾かし、海パンを履いて海へ飛び込んだ。

海はサーフィン初心者にちょうど良いぐらいの波で、サーファーと海水浴客が半々ぐらい。

ちょうどよく冷えた綺麗な海の中を泳ぐ。

しばらく泳いだら砂浜に座って芋けんぴをかじりながらオカリナを吹いた。

オカリナを一曲吹いたら芋けんぴを食べ、ジュースを飲む。

またオカリナを一曲…。

暑くなったら海に飛び込んだ。

 

さっきのお遍路さんはこんなこともしていないのだろうな。

可哀想に。

旅とはこうでなくてはならない。

歩くのも楽しい、なんてのは結局強がりに近いものであり、そんな風に思うこともあるだけで、歩くだけならこんなにつまらない旅もない。

遊んでなんぼである。

 

芋けんぴをボリボリかじりながら(これほんとにうまい)影に戻ってきて、服を着て再出発。

 

 

熱中症

今日は日差しが強かった。

太陽が雲に隠れるということがまずなかった。

気温も高かったと思う。

そのせいか、暑くて暑くて、ちょっとこれはまずいぞ、となった。

このまま歩き続けたら倒れるな、と思ったので、日陰を探すと、前方にトンネルが見えたので、トンネルの影に入って荷物をおろし、水を飲んでおっちゃんにもらった塩分チャージタブレットを何枚もボリボリ貪る。

しばらく座って休んでいると回復してきた。

 

ふぅ、今日はちょっとやばいな。

まあもう今日の目的地に着くから大丈夫。

明日以降も気をつけないと。

帽子は熱がこもる感じがするから嫌だが、お遍路さんのするような笠なら買ってもいいな。

 

 

スーパー

スーパーに来たが、笠も水中眼鏡も売ってなかった。

別の店を探そう。

そして高知の地魚が安い。

これは高知市のスーパーでも思ったが、なぜこんなに安いのか。

 


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黒ムツは高級魚だったはずだ。

大きさが小さめだから安いのかもしれないが、それでもこれだけ入って税込115円は安い。

今日はこいつを煮付けにする。


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聞いたことのない名前だが、アジはアジだろう。

味が良いからアジと言われる魚。

大きさは一尾で夕食に足りるほど。

二尾で税込137円。

黒ムツを買うのでこっちはスルー。

しかし安い。

 

今日泊まる公園のそばに、カツオ関係の品を売っている店があった。

高知といえばカツオである。

そして、有名なつまみ、酒盗はカツオの塩辛。

発祥は土佐で、土佐藩主がこれを食べて「このツマミは美味すぎて酒を盗みおった」と言ったことからこの名がついている。

酒盗には酒が進むという意味の他に、酒を盗んででも飲みたくなるという意味もあるそうだ。

ということで買った。

まあ保存食だから。大丈夫だろう。

こんなことならダバダ火振をもうちょっと残しておけば良かったな。

 

 

歩いた距離:27km