歩いて日本一周ブログ

歩いて日本一周する記録とか雑記

鞆の浦

ゴールデンスランバー

朝、雨は降ったり止んだりしていたが、もう台風も終わりという空気が漂っていた。

史上最大級の台風なんて言っていたが、終わってみればそう大したことはなかった。

まあ、いた場所が良かったのだろう。

もう少し早くて九州に居たらやばかっただろうし、遅くて四国にいてもやばかったかもしれない。

結果的に、広島の旅に入る前の良い休憩になった。

 

日本全国を見ればひどい目にあった人もいるのだろう。

できるだけ少ないといいな、と思う。

これを読んでいる人も無事であることを祈る。

今季の台風はまだ何度か来るだろう。

お互いに気をつけよう。

 

図書館が開くのは午前10時だった。

8時には出発できたが、ゴールデンスランバーのラストを読まないと先に進めないので、食料を買うなどして待った。

図書館が開くとすぐに入り、ゴールデンスランバーを開く。

30分程で読み終えた。

 

最高だった。

ゴールデンスランバー

衝撃的な作品だ。

これまで読んだ小説の中で一番かもしれない。

まあ、最高級に良い小説を読むといつもそれが過去最高と思い、時間が経って熱が冷めてくると、最高の小説の一つという地位に落ち着くものである。

それにしても素晴らしかった。

映画で見たことはあったが、大分忘れていたのでちょうど良かった。

それに、映画だとカットされていたり、短くまとめるために変えられているところもあるので、断然小説がオススメだ。

 

 

米がない

道の駅を出発して、すぐそばのスーパーで止まった。

米とまな板を買わなければならない。

まな板は100均のペラペラのやつだが、台風で何処かに飛んでしまって行方不明なので、新しいのを買う。

米を買うためにスーパー2つ、ドラッグストアを回ったのだが、どこも欠品していた。

台風で米が店に届かないらしい。

唯一、高い米だけ売っていたが、高いので買わなかった。

米は今日までの分しかないが、まあどうにかなるだろう。

 

それにしても、予想もしていないところで台風の影響が出ている。

これを予想して米を買いだめした人もいたかもしれない。

困ったもんだよまったく。

 

 

鞆の浦

仙酔島に行きたくてやってきたのは鞆の浦

ここは古い町並みが残っており、観光地のようだ。

肝心の仙酔島は台風の影響で船が出ていないらしいが、明日はたぶん出るらしいので今日はここで泊まりだ。

 

鞆の浦の昔ながらの町並みを歩いていると、酒の瓶を並べた店に差し掛かり、足が止まる。

そこですかさず店のおばちゃんから声がかかった。

「保命酒(ほうめいしゅ)、どう? 試飲できるよ」

ただで飲めるなら飲まない理由はない。

しかし店に入ってみると、どうも普通の酒屋ではない。

いや、そもそもこれは酒なのか?

「これはお酒ですか?」

「酒として飲むものじゃないね。薬よ」

保命酒とは、どうやら鞆の浦に古くから伝わる薬用酒であるらしい。

漢方などに似て、薬用植物を使って身体の疲れをとったり、調子を整える酒らしい。

試飲すると、独特な味だが、美味い。

とりあえず買わずに外に出たが、その後他の店でも保命酒は売っていた。

しかし種類が違う。

最初の店に戻って聞くと、作り方も材料も違うらしい。

この店の保命酒が元祖の作り方と同じらしい。

確かに、他の店では割と普通に酒として売っていたが、ここでは薬として飲むもの、と称している。

それが元々の飲み方なのだろう。

僕はもちろん酒として飲むつもりなのだけれど、ここの保命酒の独特の風味が気に入ったので、ここのを買った。

 

 

公園読書

鞆の浦は観光地なので泊まる場所に困る。

グーグルマップを見ると、公園が2つあった。

一つは街の中心にあり、写真には観光客の姿もある。写真の枚数も多い。

もう一つは町外れにあり、写真の枚数は少なく人は写っていない。

迷わず後者を選択し、行ってみた。

細い道を歩いていくと、住宅地の中に爺さんたちがゲートボールに利用してそうな広場があった。

水道、トイレ、椅子がある。

十分だ。

ザックを下ろして、ガソリンを買いに行く。

戻ってきて、まだ時間があるので、椅子に座って本を読み始めた。

なかなか座り心地が良い。

 

椎名誠『わしらは怪しい雑魚釣り隊』。

椎名誠率いる怪しい集団が大鍋を持って海に繰り出し、一般の釣魚ではなく雑魚を釣って鍋に突っ込んで、焚き火で沸かして食う。

釣れないことも多く、そういう時は、スーパーで買ってきて食う。

みんなでキャンプして、昼でも夜でも酒を飲む。

中にはほとんど釣りをしないメンバーもいる。

完全年功序列制が敷かれており、歳が一つでも上の者は、下の者に何を命令してもよいというクソルールがある。

最年長者の人はほとんど釣りをしない上に周りに迷惑をかけ続けるのだが、最年長者なので誰も文句を言えない。

めちゃくちゃ面白い。

本当に馬鹿で、面白い。

馬鹿であることこそ幸せの秘訣なのかもしれない。

 

思えば僕は真面目すぎるのだ。

根が真面目であり、真面目な生き方をしてきたので、真面目さが行動や思考に出てしまう。

日本一周をしていてもそれなのだから始末に困る。

この本を見ろ。

人物紹介にこう書いてある。

 

椎名誠=第一次、第二次の怪しい探検隊に続いて今回は雑魚釣り隊隊長。深く物事を考えたことが一度もない。

P•タカハシ=年功序列制度をうまく利用して幹部になった貫禄と落ち着きのない、しかも殺人的におしゃべりな長老。

 

この二人が、年長者なのにとにかく馬鹿で、面白い。

思えば僕も探検部だった頃はもっと馬鹿なことをしていたような気がする。

深く物事を考えない方が幸せで素敵な旅ができるかもしれない。

 

それにしても雑魚を釣っても普通の魚を釣っても釣れなくてもなんやかんや魚で飯作って酒飲むこの雑魚釣り隊のなんと楽しそうなことか。

雑魚ばっかり釣る僕を『雑魚狩りの〇〇(僕の名前)』と揶揄した友人達には一度この本を読ませたい。

 

そろそろ飯を作るのでブログはこれで終わり。

 

 

歩いた距離:11km