田舎道長々…
日本なんて、どこを歩いても大体同じようなものだろう、などと思っていたが、地方によって雰囲気がだいぶ違う。
今歩いているのは、中国山地の中で、盆地と盆地をつなぐ道と言える。
比婆山がほとんど広島県の北の端で、そこから瀬戸内海に面した呉まで南西に降りていく。
呉ギリギリまで山地なのだが、途中に盆地がいくつかあって、盆地に市街地ができている。
これをつなぐようにして歩いているわけだ。
庄原、三次、東広島、呉の順である。
今は三次から東広島だが、この道が長い。
1日で歩ききれない距離だ。
しかもこの間の道はかなりの田舎道で、スーパーなどがない。
たまにコンビニがあるのが救いだ。
四国の山奥と違って、この道にはそれなりに平らな土地はあるし、民家もあるが、店がない。
感覚としては、そこそこの町ができても良さそうな構造の土地なのに、田圃と畑と民家しかない、というもの。
視界がひらけているだけにか不自然さを感じる。
途中、『千本桜』と銘打った場所があり、川に沿って無数の桜が立ち並んでいた。
春になればさぞ綺麗だろう。
だが今は緑の葉が半分程落ちて、桜はリラックスモードに入っている。
『ああ、終わった終わった〜…』と気だるげな声が聞こえてきそうだ。
僕も終わった終わった〜とやりたい。
これは定休日の物産館の脇の四阿で書いている。
ここで昼休憩だが、今日目的としていた道の駅までまだ17kmぐらいある。
しかし昨日30km歩いたせいで疲れていて、とてもそこまで歩く気にならない。
適当なところで諦めたいのだが、水が手に入る場所が無いといけない。
あ〜どうしよ…面倒くせぇ。
ダラダラ……。
こうして、舐めるようにちびちび飲んでいるウイスキーがどんどん減っていくのだった。
道の駅湖畔の里福富
結局道の駅まで歩ききった。
最近連続で歩ける日数が増えてきた。
これは気温が下がったおかげで、代謝が減り、体力の消費が減ったためだろう。
これからしばらくは歩きやすい季節だ。
まあ、冬になったらまた体力を消費するようになるかもしれない。
連続で歩けるようになってはきたが、昨日30km歩いたせいで今日は疲れていたのに、今日も長めに歩いた。
明日歩けるかは不明だ。
今の疲労感からすると歩けそうだが……。
道の駅は広い駐車場と広場がある大きめの道の駅だった。
スタンプを押して野菜を買う。
また茄子とピーマンだ。
ピーマンは袋に詰め放題で100円。
最初は袋が閉じれるくらいに入れたのだが、店員さんに「これでいいんですか?まだ入りますが……」と言われていっぱいまで入れた。
もう随分昔、幼い頃家族と行った栗拾いだったかいちご狩りだったか、もうあまり覚えていないのだが、その頃はとにかくパズルのように隙間がないように袋にギリギリまで詰めていた記憶がある。
僕は大人になってしまったのか……。
一抹の寂しさを覚えた。
まあ、結局いっぱいまで詰めているんだけど。
明日はどこまで歩くか。歩かなくてもいいな。
そろそろ図書館が恋しい。
歩いた距離:29km