今日という日は、残りの人生の最初の一日
とは、誰の言葉だったか。
調べてみると、薬物中毒患者救済機関シナノンの創設者チャールズ•ディードリッヒだそうだ。アメリカン•ビューティーという映画で引用されていて、そちらの方が有名かもしれない。
好きな言葉は多いけれど、誰が言ったのかは大抵忘れている。
今日、当たり前のように家の扉を開けて、日本一周の旅に出た。
空はよく晴れていて、春の陽気が心地良かった。
などと平気でいられたのは最初のうちだけで、1時間も歩けば、33キロの荷重が徐々に肩を苦しめた。
長い歩き旅となると、必要なものは全て持っていくので、自然、家を担いでいるようなことになる。
この旅は、身体を鍛えることも目的の一つだ。
そのうち、荷重に慣れていくだろう。
今日は初日なので、15km程歩いた先にある道の駅を目的地とした。
思いの外早く、午前中のうちに着いてしまった。
一方で予想以上に疲弊していたので、午後はほぼずっと道の駅のベンチで昼寝していた。
とても気持ち良かった。
考えてみると、日中あまりやることがない。
スマホのバッテリーを無駄使いしたくないので基本的に開かない。
小説があれば重宝するだろうが、すぐに読み終えてしまうだろうし、金がもったいないので、図書館などを利用するにしても、常に何か読んでいる状態を維持するのは難しい。
街中だとオカリナも吹きにくい。
結果、疲れていることもあり、昼寝に落ち着く。
歩いて、昼寝をする。
食事をして、星を眺めて、寝る。
目覚めて、歩く。
急ぐことも、焦ることもない。
目の前で青信号が点滅し始めても、早足になる必要はない。
まるで僕だけが、世間の喧騒から切り離されたかのようだ。
なるほど、こんな感じか。
実際に始まるまで、どうなるのか、どんな旅になるのか、分からない。
少しずつ、旅の形が、明らかになる。
というより、形作られていくのだろう。
今日分かったことは、
肩への負荷が、なかなか大きいこと
もう少し、ゆったり休憩を挟みながら歩いていいこと
昼寝が心地良いこと
寝る場所は見つかっても、火を使った炊事ができる場所は、やはり限られていること
チキンラーメンは、カップラーメンより安く、通常の袋麺と違いコンビニの給湯器でお湯を注げばできるので、便利だということ
慣れないうちは、新しく知ることも多いはずだ。
分からないことが多いから。
さっきも書いたように、自分でも、どんな旅になるのか分からない。
けれど、思った程不安はない。
今日は、星がよく見える。