須ノ川海岸
昨夜は床暖房がなかったので熟睡できた。
ただこの海岸は蚊が多く、しかもでかい。
普通の蚊の3倍はある。
そして刺されると3倍に腫れる。
朝用を足した時など、個室の中に大量の蚊が入り込んできて便座の下にも入り込んで攻撃を仕掛けてきた。
普通の蚊より3倍とろいので殺すのは容易だが、これだけ多いといちいち叩いてられない。
厄介なものだ。
数km歩いて須ノ川海岸に着いた。
ここはサンゴ礁が見られる綺麗な海岸と聞いていたので、泳いで中を見てみる。
確かにサンゴがあり、魚も多い。
ただ、水はそれほど綺麗ではなく、クラゲが多くてチクチクしたので数十分で上がった。
水が綺麗でないといっても、汚いわけでは決してなく、真昼なら美しく見えただろう。
しかし柏島の海を見た後なので、どうしても見劣りする。
あそこは別格だった。
ここは300円でキャンプもできて、有料だがシャワーもあり、何より近くに温泉があるので、泊まるには持って来いの場所だった。
昨日はここまで歩くのはしんどくて諦めたが。
特に温泉に入りたかった。
最後に風呂に入ったのは高知の中心部にいた頃だから、8月中旬か。
四万十川で行水して、名鹿では海水浴場の無料シャワーを浴びて、その後も海で泳いだりしているので、一応雑に身体を洗えてはいるのだが…
最悪の場合、次の風呂は道後温泉になるだろう。
今日で松山まで100km切ったので、4日歩けば着く。
途中休みの日が入って5日というところか。
うーん…どうするか。
道の駅…
ひたすらに歩いた。
何も楽しいことはない。
強いて言えば須ノ川海岸で泳いだが、クラゲが多くてあまり満喫できなかった。
そして道の駅に到着。
そこには何も無かった。
道の駅はさら地になっていた。
YAMAPの地図には道の駅と表示されていたが、もうないようだ。
近くに直売所だけは残っていたので、ここでにがうり、ししとう、かぼちゃを安く仕入れる。
今日はここで終わりにしようと思っていた。
しかしあまり良いテント場も無いし、疲れていたが次の道の駅まで歩くことにした。
あと12kmだ。
無心で歩いた。
ザックが重いと、単純に脚が疲れるというだけではない。
ザックを腰で支えるために腰ベルトを強く締めると、脚に血が回らなくなり、歩いているとすぐに脚が痛くなってくる。
腰ベルトを緩めると肩に荷重がかかり、肩が痛くなる。
さらにひどいと背中に血が回らなくなり、背中が痛くなる。
疲れたとかどうとか以前に、痛みとの戦いなのだ。
重い荷物を持っていれば肩も強くなってくるだろう、と根拠なく信じていたが、その兆候は無い。
荷物を減らすことを検討すべきだろう。
歩く中、明らかに高知と様子が違うことに気づく。
高知では、町の中心部にしか店というものは基本的に無い。
道は山や田畑の中を通り、ごくたまにぽつんと喫茶店や食事処があるくらいだ。
しかし、今、町の中心部でもないのに、スーパーやユニクロ、ワークマンなどの店が国道の左右に並んでいる。
松山まで100kmを切った。
四国一の都市である松山がある愛媛県は、やはり全体的に栄えているのだろう。
途中、疲労と痛みでやる気がなくなり、コンビニで休んだ。
お腹も空いていたし、何か買うことに。
するとコンビニスイーツのどらもっちが目に入った。
前から食べたいと思っていたのだ。
どらもっちは、もちもちした生地のどら焼きで、中にあんこと生クリームが入っている。
どうせ食べるならこういう心身共にひどく疲れて慰めがほしいときが良い。
買って食べる。
あぁ、美味い。
もちもちのどら焼きだ。生クリームがにくい。
これでまだ頑張れる。
地面を見つめて無心で歩き続け、道の駅に到着した。
まだやっていた。
ナスを購入。
さらにスーパーでひき肉と玉ねぎを買う。
今日は夏野菜カレーにするのだ。
つまらない日でも、食べるものさえ良ければ素晴らしい日に早変わりする。
ここ、宇和島はかなりの大都市に思える。
これまで高知にいたからだ。
高知や徳島ではこんな場所、中心部にしかない。
政令指定都市に住んでいる人からしたら、田舎の街という印象だろうが…
歩いた距離:33km