寝不足
昨夜はブログを書くのに0時までかかってしまった。
筆が乗った、などと言えれば格好付くのだが、ただあったことを書きながら考えたことを書いていただけで、大したことは書いていない。
体がだるい。
これは寝不足のせいだろう。
明日12日は、ペルセウス座流星群が一番近づく夜だ。
しかしこのまま行くと松山でその日を迎えることになる。
松山は四国一の都会だ。
星が綺麗に見えるとは思えない。
そこでわざと山の中で停滞して、12日夜を迎えようと思う。
なんだか疲れも溜まっているし、ちょうど良いだろう。
道の駅内子フレッシュパークからり
道の駅に着いた。
大きな道の駅で、全国の道の駅のモデルにもなっているらしい。
中は人で溢れていた。
大きな農産富直売所に、パン屋、アイス屋、たこ焼き大判焼き、それからテーブルと椅子、ベンチがあちこちに置かれた野外スペース、そばの川には吊橋がかかっており、遊歩道も整備されている。
なるほど確かによく作られた道の駅だ。
しかしあまりにも人が集まりすぎである。
直売所の品は、どれも道の駅としては標準的な値段で、もっと安い所はいくらでもある。
屋内の休憩スペースは無いし、人が多くて落ち着かない。
情報コーナーで、今日大洲で夏祭りがあると知った。
場所は大洲の中でも東に行った所で、今日中に行けなくはないが、非常に疲れることは間違いない。
しかも戻るのにまた歩かなければならない。
そこから元の予定通り歩くことになるので、大変だ。
この夏、どこかの夏祭りに参加したいと思っていたけれど、これは却下だ。
今年は夏祭りには参加できないかもしれない。
ベンチで昼寝をして、昼食を食べて梨を剥いて食べた。
重い腰を上げて出発しようという所でお遍路さんがやってきた。
それは昨日話したおっちゃんだった。
昨日より話し方が落ち着いていた。
もう行くところだったので、二、三言話して行こうと思っていたが、おっちゃんがザックからほら貝を取り出し、ほら貝を吹きながら旅している、というので、それを聞くまで出発できなくなった。
話をすると、おっちゃんは修験道をしているらしい。
修験道とは、木とか石とかあらゆるものに神様が宿っていると考えるものだ。
修験道の修行をしていると、木や石と話せるようになるらしい。
ホントかよ。
「おもろいやろ」
まあ、本当に聞こえたら面白いか。
人はそれを幻聴と呼ぶのだ。
「何かの声が聞こえたことはありますか?」
「飛んでいるものなら。トンボとか。特に神社の中にいるのとかは、神様の遣いと言われとって」
「へぇ」
「俺もそんなわけあるかって思っとった。でも、それでもこうしたことを話す人の話を否定せずに聞いてるとな、周波数が合ってくるんや」
「ほお」
周波数。
「まあ何より、こういうことやる人ってのは、つぼ買え、道具買えだの言ってこおへん」
「ああ、それは分かります。それはそうでしょう」
そういう胡散臭さを疑っているわけじゃない。
本人達は本気だろう。
そして清貧を意識しているかは知らないが、あまり金に興味のない人達なんじゃないだろうか。
「金がかからんてのも、続けてられる理由やな」
「修験道をやる人の集まりがあるんですか?」
「ああ、俺は京都のとこの所属なんやけど、最初はホームページ見て、修行体験の情報とかあるやろ」
「ああ、ありますね」
「そこから参加して、みんなで経を読んだりするんや。それがおもろくてな。俺、合唱部やったから」
経ってそういう感覚なのか。
ていうか経は仏教だよな。
修験道は神の信仰だから仏教とは別のはずでは?
しばらく話して、ほら貝を吹いてもらえないかと言ってみた。
おっちゃんは快く吹いてくれた。
想像以上に大きな音が鳴る。
軽快に三音の高さを使いこなし、伸びやかな音が響いた。
パチパチパチ。
「すごい。良かったです。ほら貝って結構大きな音が鳴るんですね」
「一応、上手いってよく言われます」
おっちゃんは腰を低くしたような口調で言った。
「上手いですよ。この音はほら貝の形から生まれるんですよね」
「いや、音は口で出しとる。ペットボトルでもできるで」
「へぇ、てことはほら貝は拡声器ですか」
「そやな。メガホンみたいな」
そうだったのか。
「ありがとうございました。じゃあ、僕はそろそろ行きます」
「おお、気をつけて。お兄ちゃんも、三十年後には急に修験道の道に目覚めてるかもしれんで」
「はは、そうかもしれませんね」
おっちゃんは修験道を僕に勧めはしなかった。
物事の説明をする時に、まず面白いかどうかを話す人は信頼できる。
やはり、第一印象では人は分からないな。
公園
今日は星が綺麗に見えそうな自然公園に泊まることにした。
ペルセウス座流星群は、明日の夜極大になるが、昨日の夜も流れ星は結構見えていた。
今日も観られるだろう。
夕食は、道の駅に親指ぐらいのじゃがいもがたくさん入って100円で売っていたので、これを使う。
銀の匙の家がじゃがいも農家をしているキャラクターが、クズイモにはクズイモの戦い方があるんだよ、と言って素揚げにして塩で食べていたのが美味そうだったのでそれをやる。
ついでにゴーヤとかぼちゃも素揚げにして塩で。
味噌汁にツルムラサキと卵。
こういうのでいいんだよ、って感じの夕食になるだろう。
じゃがいもの素揚げは想像通りに美味かった。
かぼちゃは甘くなって非常に美味しい。
ゴーヤは、かなり美味い。
これはゴーヤの苦みを美味しいと思える人に限られると思うが、ゴーヤを素揚げして塩をふるだけで良い酒のつまみになる。
というか素揚げにして塩振れば大体のものは酒のつまみになるよな。
ツルムラサキの味噌汁はやっぱり美味い。
ツルムラサキといえば味噌汁しか思いつかないもんな。
油で炒めても美味いかも。
全体として素晴らしい食事だった。
特に名前のある料理ではないけど。
こういうのでいいんだよな。
歩いた距離:19km