朝コーヒー
山越え前の休みとして、今日は一日休みにした。
朝からゆっくりできる。
お湯を沸かしてコーヒーを淹れ、残りのお湯をみそ汁にした。
美味しい。
久しぶりのコーヒーがしみる。
コーヒーはカップにセットしてお湯を注ぐことで1杯分だけ作れるものだ。
朝のコーヒーは素晴らしい。
朝コーヒーを飲むたび、僕はマダガスカルの朝を思い出す。
大学四回の時に、調査でマダガスカルに行った。
自分の卒論の調査に加え、同じ研究室の先輩の調査の手伝いをすることでマダガスカルに行けたのは、今考えても運が良かった。
調査地周辺は田舎も田舎、夕食は国立公園併設の食事処だったけれど、朝と昼の食事は、遠く離れた首都で保存の効くものを買ってから行ったのだった。
調査地での朝食は、拠点にある屋根の下の長テーブルに皆で集まって食べた。
ラスクのようなパンに、ピーナッツバター、ヌテラ(ピーナッツバターのチョコ版みたいなもの。これが美味いのだ)、ハチミツなどを思い思いに塗って食べる。
足りない人(僕だ)は、オートミールも食べる。
それから、美味しいコーヒーだった。
たまに、シファカと呼ばれるキツネザルが近くに来たりする。
マダガスカルにいた当時も思っていたけれど、これほど贅沢な朝食はない。
コーヒーと甘いものはよく合う。
美味しくて、元気が出る。
今日も頑張ろう! となる。
もちろん、決して高価な食事ではないので、もっともっと値段の高い朝食を食べたことはある。
ホテルのバイキングなどは高価で、それだけに美味しいものだ。
けれど、これまでの人生で最も良かった朝食というなら、僕は迷わずこのマダガスカル調査地での朝食を選ぶ。
今こうして思い出すだけで、幸せな気分になれる。
素晴らしい時間だった。
素晴らしい時間は、意識して作り出せるものではない。
ある時、ふいに訪れるものだ。
あの時と同じ時間を作り出すことはできないけれど、またそのうち、あの時と同じ朝食を食べよう。
それだけでも、十分幸福になれるはずだ。
ああ、それにしても、コーヒーが美味い。
道の駅ことなみ
テントのそばには綺麗な川が流れている。
服を洗った。
日が当たりそうな場所に干す。
それから道の駅に向かった。
道の駅は歩いてすぐだ。
昨日は定休日だったけれど、今日はやっている。
平賀源内が絶賛したという温泉がある。
とりあえず入ってすぐスタンプを押す。
売店を回ってみる。
農産物の直売所も見る。
ここで米を買いたかったのだけれど、5キロで、しかも高いのしかなかったのでやめた。
値段の表示ミスかもしれないけれど、玉ねぎ2個が入った袋が30円と書かれていた。
今玉ねぎは十分あるので買わなかったけれど、さすがに130円の間違いだろうか?
靴を脱いで温泉の方に歩くと、いくつか休憩所があり、漫画も置いてある。
WiFi もあるが、自由に使えるコンセントはなさそうだ。
そこまで確認して、よし、と思う。
今日は一日暇だった。
しかしかなり山奥にいるので、図書館などあるわけがない。
周辺にはこの道の駅しかない。
どうしてもやることがないなら、渓流釣りをしたり、植物を見たりすることはできるが、足を休ませたいのに休まらない。
だから、暇つぶしは道の駅の休憩所次第だった。
コンセントがあれば最高だったが、そこは仕方ない
それより、この休憩所は温泉に入らなくても利用できそうである。
普通温泉の休憩所は温泉に入らないと使えない。
入口で受付するからだ。
しかし、ここでは上がって歩くと休憩所があり、その奥に券売機と受付がある。
外の幟にも、『温泉、食事、休憩に』と書いてあったし、休憩だけでもできるようになっているのだ。
とは言っても、ここに来て温泉に入らない人などいないのだろう。
入浴料も650円とそんなに高くない。
僕も入りたかったが、この前入ったばかりだし、昨日の行水で体は清めてあるので、入らなかった。
ポンポン温泉に入っていると金なんてすぐなくなる。
漫画コーナーの漫画は、誰かが盗んだのか、1巻がないとか、途中抜けているとか、そんなのばかりだ。
懐かしい漫画『遊戯王』があったので、手にとって読んだ。
カードゲームの印象が強いが、最初の頃はもっと幅広く遊戯全般の話だった。
途中からカードが主流になるが、そのルールも『遊戯王オフィシャルカードゲーム』とは全然違う。
懐かしいキャラクターに出会えて楽しかった。
明日は山越えだ。
と言っても、そんなに高い山ではない。
登るのはそれほど問題ないだろう。
どちらかと言うと、降りるのに時間がかかりそうだ。
まあ、降りるのは登りほどきつくはないし、総じて大丈夫だろう。
歩いた距離:1km